目次
はじめに
こんにちは。お久しぶりです。
最近はAIの発達が目覚ましいですね。「アプリ開発全くの未経験の私が、AI使ってどのくらいのものが作れるんだ?」と興味本位で、育児の合間にちまちま作っていたら、ノってきてしまって結構ちゃんとしたものが作れてしまいました。AIってすごいですね。
作ったのは「Calcjot(カルクジョット)」という、計算式に名前をつけて保存できる電卓アプリです。
作り始めた当初は「ちょっと作ってみるか〜」くらいのテンションだったのですが、気づけば夫に促され、Microsoft Storeへの申請というフェーズまで来てしまいました。そして、機能開発は楽しかったのですが、申請作業がまあまあ沼でした・・・・
今回は、個人開発者としてMicrosoft Partner Centerでアプリを申請してみた記録を書いていこうと思います。特に、有料版(アプリ内課金アドオン)の提出に向けた税務・支払い設定まわりで思ったより手こずったので、その辺を中心に残しておきます。
これから個人でMicrosoft Storeに申請しようとしている方の参考になれば幸いです。
背景
まず簡単にアプリの説明と、申請周りの前提を整理しておきます。
もともと家計簿管理でヘビーユーズしていた計算メモアプリがあったのですが、使っているうちに「あれがあったらいいのに」「これがこうならいいのに」という要望がいろいろ出てきていました。 レビューに書こうかな?と思ってAppStoreを開いてみると、そのアプリの開発は4年前で止まってしまっていました。それなら自分で作ってみよう、と思ったのがCalcjot開発のきっかけです。
Calcjotは、計算式に名前をつけて保存し、他の式から参照できる計算メモアプリです。複数シート管理や、合計・平均・分散などの集計機能もついています。
開発者アカウントは個人事業主として登録しています。アプリストア上の発行者名にはフリーランスとしての屋号である「Sunny Byte」を使っています。
初回リリースなので、収益モデルはシンプルな2段構成にしました。
無料版:計算シート3枚まで、テーマは白のみ
有料版:シート無制限+全7色のテーマ解放(買い切りのアプリ内課金アドオン)
つまり、Microsoft Storeには「Calcjot本体(無料)」と「FullVersionUnlock(有料アドオン)」という2つのものを申請する必要があります。
本体の審査には数日〜かかると聞いていたので、まず本体だけ先に申請を出し、「アドオンの方はその間に準備しておこう」くらいの気持ちでいました。
フライング申請失敗
本体を申請した翌日、「じゃあアドオンも出しておくか」と軽い気持ちでPartner Centerを開きました。
アドオンページを見ると、申請1のステータスは「送信されていません」。よし、じゃあ出すか、と概要ページを一通り確認していくと……
アドオンの親アプリが公開されるまで、このアドオンを提出することはできません。
出ました、赤いエラー文。
どうやら、アドオンと親アプリは同時並行で申請を進められるわけではなく、親アプリが実際にストアで「公開」された後でないと、アドオンは提出すらできない という仕様のようです。審査中とか申請済みではダメで、あくまで「公開済み」がボーダーラインという厳しさ。
しかもよく見ると、もう一つエラーが出ていました。
支払いを請求する前に、税務情報および支払い情報を更新する必要があります。
確かに、有料版公開するのはいいけどお金ってどうやって入ってくるんだろ?と頭の片隅で思っていました。
なるほど、これがその設定というわけですね。
本体の公開を待つのはどうしようもないとして、税務・支払い情報の方は今すぐ着手できます。
というわけで、早速Partner Centerの「支払いと税」設定をしていくことにしました。
税務プロファイル登録
アカウントの設定から支払いと税プロファイルの設定画面を開くと、当然ながら何も登録していない状態でした。面倒そうだけどまずは税プロファイルから手をつけることに。
事業上の名称(DBA)って何?
最初に出てきたのが「事業上の名称(DBA)」という欄。DBAは「Doing Business As」の略で、法的な登録名とは別に対外的に使っている屋号を書く欄でした。
私の場合、Partner Centerに登録している法的名義は本名で、発行元ID(対外的な屋号)は「Sunny Byte」としていました。この2つが違うパターンだったので、DBA欄には屋号を記入しました。
税居住国を選ぶだけなのに詰まる
続いて税居住国は日本を選択。その次に出てきたのが「税IDの種類」というプルダウンで、選択肢は「VAT番号」か「VAT登録されていません」の二択。
VATって何?と一瞬固まりましたが、調べてみると要はEU圏などで使われる付加価値税の登録番号のことで、日本の消費税とは別物。日本の個人事業主が持つことは基本的にないので、迷わず「VAT登録されていません」を選択すればOKでした。
W-8BENという書類を初めて知る
税フォームのセクションに進むと、「米国」向けのフォーム提出を求められました。
え、なんで米国?と思ったのですが、Microsoftが米国企業である以上、日本居住者への支払いに対しても、米国側の源泉徴収税をどう扱うかを申告する必要があるとのこと。日本居住者の場合、日米租税条約に基づいて源泉徴収を軽減してもらうために「W-8BEN 」というフォームを提出します。これを出さないと、報酬の一部が高い税率でごっそり米国側に持っていかれてしまうらしい。
「税フォームの起動」を押すと、S&Pグローバル マーケット インテリジェンス社という外部サービスのフォームに飛ばされ、そこで実際の入力を行う流れでした。
日本の開発者の方は一番下にチェックを入れないよう要注意
途中、「実質的に関連する所得」という項目にチェックを入れるかどうかの選択肢があったのですが、これは米国内に事業拠点を持ち、米国へ納税申告をしている場合(W-8ECIというさらに別のフォームが必要になるケース)の話で、普通に日本で活動している個人開発者には関係ないやつでした。
なんかチェックを入れないと進まないやつかと思い、危うくノリでチェックしそうになりましたが、ちゃんと条件を読んで事なきを得ました。
意外とあっさり終わったW-8BEN
氏名、住所、市民権のある国、税務上の居住地……と一通り入力し、最後に「偽証罪の適用があり得ることを認識した上で」云々という宣誓文にチェックを入れ、電子署名としてローマ字氏名を入力して完了。
拍子抜けするくらいスムーズに終わり、税プロファイルのステータスはすぐに「完了」に変わりました(検証に最大48時間かかると案内されていたので身構えていたのですが、体感かなり早かったです。申請してから2-3時間で承認されていました)。
税務フォームはこれで一段落。しかし本当に沼だったのはこの後の「支払いプロファイル」設定でした。
支払いプロファイル登録
税プロファイルが終わったので、続いて支払いプロファイル(銀行口座情報)の登録に進みます。……と思ったら、まずどこから登録すればいいのか分からず彷徨うところからのスタートでした。
追加ボタンがどこにもない
「Payout and tax profiles」の「支払いプロファイル」タブを開くと、「現在、支払いプロファイルがありません」の文字だけがぽつん。追加ボタンらしきものはどこにも見当たりません。
何もない
結局、正解は別の画面にありました。「Payout and tax profile assignment」(支払いと税プロファイルの割り当て)の方から対象プログラム(Microsoft Store)を選び、「Edit」を押して開いたパネルの中の「支払いプロファイル」欄でどちらかのビジネスエンティティを選んで、上部の「Edit」を押すことで初めて銀行プロファイルを新規作成するための導線が現れる、という仕組みでした。分かりにくい……。
プロファイル名に日本語を入れてエラー
銀行プロファイル作成画面が開けたので、プロファイル名を入力して次へ進もうとしたところ、赤枠でエラー。
どうやらこの欄は英数字のみ対応で、日本語(全角文字)が入っていると弾かれる仕様でした。「SunnyByte Bank Account」と英語表記に変えたら、あっさり通過。
全銀コードと支店コードの入力のクセ
続いて銀行口座の詳細入力。「JPRN全銀コード:4桁の銀行コードと3桁の支店コード」という欄があり、これは日本の銀行に割り振られている統一金融機関コード(4桁)と支店コード(3桁)を、続けて7桁の数字として入力するものでした。
(このあたりのコードは何かの申請の際に使うことはありましたが、繋げて入力するのは初めてでした。私が知らないだけでスタンダードな入力方法なんでしょうか)
入力すると自動で銀行名・支店名(英語表記)が表示され、ちゃんと認識してくれているのが分かりました。
「貯蓄」はあるのに「普通」がない
口座の種類を選ぶプルダウンには「確認中」と「貯蓄」の2択。「確認中」って何、審査状態のこと?と困惑しましたが、これはおそらく英語の「Checking(日常的に出し入れする口座)」が機械翻訳でそのまま「確認中」になってしまっているだけでした。日本でいう普通預金にあたるのはこちらなので、「確認中」を選択。
Beneficiary、完了までが長い
銀行口座情報の後は、受益者(口座名義人)情報の入力。氏名や住所を入れて、ようやく「Bank Account」「Beneficiary」ともに「Complete」のチェックマークがつきました。
これでようやく銀行プロファイルの作成は完了……のはずだったのですが、まだ終わりではありませんでした。
送信ボタンが押せない謎
銀行プロファイルも無事に作成でき、「Payout and tax profile assignment」の画面に戻ると、Microsoft Corporation(Sell)の行に、作成したばかりの「SunnyByte Bank Account」がちゃんと紐づいていました。
これでよし、と思って画面下の「送信」ボタンを押そうとしたら……押せない。グレーアウトしたまま。
何度確認しても不足項目が見当たらない
ラジオボタンはちゃんとMicrosoft Corporation(Sell)の行を選択している
税プロファイルも「Japan(Seller: xxxxxxxx)」が選ばれている
支払いプロファイルも「SunnyByte Bank Account」が入っている
テーブルを右にスクロールしても、それ以上隠れている必須項目は見当たらない
一見すべて揃っているように見えるのに、送信ボタンだけが頑なに押せない状態。ページの再読み込みも試しましたが変化なし。しばらく画面とにらめっこすることになりました。
ダメ元でAdsRevenueの行にも同じ設定を入れてみる
画面には、Microsoft Corporation(Sell)の行のほかに、もう一行「Microsoft Online Inc.(AdsRevenue)」という行があり、こちらは支払い方法が「Unknown」「Not selected」のまま放置されていました。
Calcjotには広告収益はまだ導入していないので関係ないだろうと思っていたのですが、ダメ元でこちらの行にも同じ支払い方法(Electronic Bank Transfer)と同じ銀行プロファイル(SunnyByte Bank Account)を設定してみたところ——送信ボタンが有効化されました。
やっと送信できる
どうやら、Microsoft Store全体の支払い設定を有効化するには、そのプログラムで発生しうる収益種別(Sell・AdsRevenue) 両方 に対して支払い方法を割り当てておく必要があったようです。ラジオボタンでの選択はあくまで「今どの行を見ているか」の表示であって、送信自体は画面全体の設定に対して行われる、という理解に落ち着きました。
無事「送信」を押すことができ、税プロファイル・支払いプロファイルともに「完了」、確認の状態だけ「Microsoftの検証保留中」という表示に変わりました。
まとめ
というわけで、Microsoft Storeへのアプリ申請そのものより、アドオン申請の方が意外と鬼門 でした。振り返ってみると、詰まった箇所はだいたいこの4つでした。
アドオンは、親アプリが公開 されるまで提出できない(審査中・申請済みではダメ)
支払いプロファイルの新規作成ボタンは、思ってもみない場所(プロファイル割り当て画面の中)にある
銀行プロファイル作成時は、プロファイル名を英数字にする、全銀コードを7桁続けて入力する、といった細かいルールにハマりやすい
送信ボタンが押せないときは、収益種別(Sell / AdsRevenue)両方 に支払い設定を入れる必要があるかもしれない
現状、Calcjot本体は審査中、税プロファイル・支払いプロファイルはどちらも完了、アドオンの提出だけが親アプリの公開待ちという状態です。
内容そのものの複雑さもさることながら、正直UIが分かりづらすぎる というのも大きかったです。追加ボタンがどこにあるか自体を探すところから始まったり、必須項目が全部揃っているように見えるのに送信ボタンだけ押せなかったり……。それに加えて、ページ遷移がとにかくもっさり していて、一つ操作するたびに待たされるので、「あれ、今の操作反映されてるのか?」と不安になりながら進める場面が何度もありました。反映確認にも時間がかかるので、とにかくストレスでした。
地味にこの2つが一番作業の足を引っ張った気がします。
公式ドキュメント も一応存在するのですが、手順の存在は書いてあっても、実際にどんな画面が出てどこで詰まるかまでは踏み込んでいない印象でした。今回の記事がその隙間を少しでも埋められたらと思います。
これから個人でMicrosoft Storeに、特にアドオンありで申請しようとしている方の、なにか参考になれば幸いです。
Calcjotが無事公開されたら、またこのブログで報告したいと思います。
おしまい